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旬のロンドン便り From LONDON
by RIE SUZUKI, meet Britain
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風見鶏の戒め
今日、(スローン・スクエア駅の南側にある広場)ピムリコ・グリーンの傍で・・・
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当時8歳だった音楽家モーツァルトの風見(風向計)を庭に立てている家に気付きました。
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モーツァルトはジョージ3世の前で御前演奏をし成功をおさめますが、夏の終わりとともに体調を壊して、そのままロンドンで長期療養生活をおくることになります。

その時、療養のため住んでいた家が、矢印の指すこの並びにあるからなのですが(8歳のモーツァルトの銅像もこの矢印の方角にあり)。

従って、風向きによって矢印の方角が変わったりしない、固定されたメタルワークです。

この辺りを通る時、いつも、ピムリコ・グリーンに接する教会の、(ロンドン一と言っても過言ではない)ポートランド・ストーンを使ったその尖塔真っ白な美しさに惚れ惚れしますが、天辺には風見鶏(weathercock)が施されています。
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今では、個人宅や学校、お店といった建物の屋根に取り付けられているというイメージの風見鶏ですが、その由来は、もともと教会の風向計に発しています。

教会に集まってくる人々すべてが、風見鶏を見て、ペトロ(日本語)のことを思い出すように、ということで「鶏」(にわとり)なのです。
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ロンドンのウェストミンスター寺院を見学される方には、セント・ピーターのシンボルは「天の国の鍵」(天国の鍵を預かっている聖人)とお話をしますが、「鶏」もまたセント・ピーターのシンボルの一つです。

※ペトロ(日本語)、ピーター(英語)、ピエトロ(イタリア語)、ピエール(フランス語)。

皆さん、キリストの十二使徒の筆頭(首座使徒)とされているペトロの話をご存知でしょうか?

イエス:「汝に告げておこう、本日、いや、この夜、鶏が二度鳴く前に、汝は私のことを、三度、(知らないと)否認するであろう」

ペトロ:「とんでもない、あなたを(知らないと)否認するなど、死んでもしない」

実際、イエスが連行され、集まった人々から「お前は、イエスの仲間じゃないのか?」と三度聞かれ、「こんな人は知らない、自分と関係ない!」と三度否認。

三度目に、イエスを知らないと否認した際、やっとイエスの言葉が脳裏に蘇り、恥じて泣き崩れたというペトロです。

いかに人の心がもろいものであるか。危機に直面、崖っぷちに立った時、誓いや決心など、もろく崩れやすいものであると。
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バチカン市国にあるカトリック教会の総本山のサン・ピエトロ寺院の塔の上に風向計を設置するにあたって、当時のグレゴリウス1世 (ローマ教皇, Pope Gregory I, 540-604年)が、「鶏は、サン・ピエトロのエンブレムに相応しい」「鶏がクリスチャンに最適なエンブレム」とおっしゃったことが、風見鶏の始まりです。

サン・ピエロト寺院は、イエスに従って殉教したペトロ(サン・ピエトロ)が埋葬された場所に立てられ、首祭壇の下からは実際にペトロと思われる遺体も発見されています。

こうしたことから、鶏を教会の風向計としてつけることが多くなっていったようです。

が、しかし、50mも歩けばまた教会!というぐらい教会が沢山あるロンドン中心部で(またはシティですら)、風見鶏の風向計を付けている教会は、ほとんどありません

屋根の上に立てる風向計のことを英語では weathervane といい(風見鶏はweathercock)、'vane' は、古い英語の fana から転じた言葉で、意味は flag(旗)
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ゆえに、英国の教会というと、大概、細長い棚引く旗の形をしたものが取り付けられています。

きっと、鶏(cock)はカトリック色が強いと思ったことも(鶏を使わない)理由の一つでしょう(英国は、カトリックではなく、プロテスタントなので)。

これは(↓)、キングス・ロードにあるお店の屋根。教会ではありません。
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by rie-suzuki67 | 2014-02-04 06:44 | :: Architecture
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「英国と暮らす」 from LONDON by RIE SUZUKI apd2.exblog.jp