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旬の英国便り
by RIE SUZUKI, meet Britain
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ユニオン・ジャック
英国旗(ユニオン・フラッグ)がモチーフの洋服を着た、帽子を被った、傘をさした方が歩いていることなどは、珍しいことではありませんが・・・

でも、この格好で、(陸上ではなく)に乗ったら、どうなんでしょうね?! 違法となり問題でしょう。
ユニオン・ジャック_a0067582_5585238.jpg

なぜか?というお話を続けますね。

1603年、エリザベス一世は世継ぎを残さずに死去。後継者にスコットランド王のジェームズ6世(イングランド王としてはジェームズ一世)を指命したことに始まるユニオン・ジャックの歴史。
ユニオン・ジャック_a0067582_601649.jpg

当時はまだ、一つの国ではなく、イングランドとスコットランドの両方の国の国王となったジェームズは、当然(面倒臭いですから)、2つの国を統合させたいと思うものの、長年、いがみ合ってきた両国ゆえ、実現は叶いませんでした。

自らを「キング・オブ・グレートブリテン」と呼び、両国旗を合体させた旗を作り、王室関係旗(ユニオン・ジャック)として用いるのが関の山でした。

この旗が、現在の英国旗(ユニオン・フラッグ)の原型(スコットランドのセント・アンドリュー・フラッグの上に、イングランドのセント・ジョージ・フラッグを重ねて合体させたもの)。

ユニオン・ジャックは、あくまで王室関係旗であって、国旗(ナショナル・フラッグ)ではなく、その使用も船に掲げる旗として海上のみでした。

この場合の「ジャック」とは、(1) 戦闘船に掲げられる国旗の事をそう呼んだから、(2) ジェームズのラテン語名が、ジャコバス(Jacobus, Jacob=James)ゆえ、そこから来たという説があります。

ジェームズの息子のチャールズ1世の時代には、この旗を掲げる事ができるのは、国王の船だけと決められます。

オリバー・クロムウェルの共和政時代には、当然、王政を意味するこの旗は廃止されますが、チャールズ2世が王政復古を遂げると、再び、ユニオン・ジャックは復活! 国王の船だけが、ユニオン・ジャックを海上で掲げます。

ユニオン・ジャックが、国旗としての役目を果たすようになったのは、両国が一つの国になった1707年、アン女王の時からになります。
ユニオン・ジャック_a0067582_614678.jpg

世界の各地に英国領を拡大していった時代ゆえ、「ここは英国の領土よ!」と主張するのに国旗が必要だったこともあり、ナショナル・フラッグとして陸上での使用が始まります。

1800年、アイルランドが英国に統合されたことにより、ユニオン・フラッグは、アイルランドのセント・パトリック・フラッグをも更に重ねて、現在のユニオン・フラッグが完成とあいなります。

英国という国は、面白い事に、チャールズ1世時代に遡る、「ユニオン・ジャックを、国王の船以外が、掲げてはならない」という海上での規定が、今も生きているんです。

厳密には「ボート」も駄目。船にユニオン・フラッグを掲げると、それは「ユニオン・ジャック」であり、違法なんです。

一方、ボート以外の陸上でのユニオン・フラグの使用規定は、一切、ありません

誰でも、どんな使用をしても、構わないため、服やカーテン、絨毯、バスタオル、文房具、マグカップなどの商品はもとより、英国旗を肩からはおって歩いても、逮捕される心配はありません。
ユニオン・ジャック_a0067582_652251.jpg

「鈴木さんって、ユニオン・ジャックという言葉を使わないな?」と不思議に思っている方もおられるようです。

私は、陸上で見るこの国の国旗(ナショナル・フラッグ)のことは「ユニオン・フラッグ」としか口にしないし、 一方、ハー・マジェスティ・シップ(HMS, 国王船)又は国王のバージ(Royal barge, 儀式用に使う平底船)でみる国旗に対してしか「ユニオン・ジャック」という表現をしていないので、不思議に思われていた方、そんな訳ですのであしからず。
by rie-suzuki67 | 2014-02-03 06:06 | :: uk is ...
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「英国と暮らす」 apd2.exblog.jp