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旬の英国便り
by RIE SUZUKI, meet Britain
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世界初のソフト・トイレット・ペーパー
英国で暮らしている人なら、誰でも知っているトイレット・ペーパー・ブランド "Andrex"

"Andrex Puppy" と呼ばれる子犬がシンボル。
世界初のソフト・トイレット・ペーパー_a0067582_5315824.jpg

※現在、Andrexは、"Kleenex""Scott"ブランドを有するアメリカ企業キンバリークラーク(Kimberly-Clark)の傘下に入っていますので、オーストラリアなどでは(Andrex Puppyは)Kleenex Puppyと呼ばれています。

私はいつもトイレット・ペーパー売り場でAndrex商品を目にする度に、その功績に、一応、大きな敬意を表した上で、他のメーカーの商品を買っています(笑)
世界初のソフト・トイレット・ペーパー_a0067582_5335264.jpg

その功績とは・・・というお話。

西ロンドンにウォルサムストー(Walthamstow)という名の地域があります(ロンドンzone3)。

ウォルサムストーといえば、ウィリアム・モリスが生まれた、そして少年時代を過ごした場所で、その家は現在「ウィリアム・モリス・ギャラリー」になっていて・・・
世界初のソフト・トイレット・ペーパー_a0067582_5401384.jpg

また、英国初のモーターカーが発明された場所。更には、英国初の航空機が空にテイク・オフした場所という具合に、記念すべき出来事をたくさん持っているウォルサムストー。

実は、1942年、ウォルサムストーの Blackhorse Lane から St. Andrews Road に折れた場所にあった小さな製紙工場 St Andrew Mills Ltd が、2枚重ね(ダブル)のロール状ソフト・トイレット・ティシューを世に送り出しました。

歴史的な発明・出来事の現場として、何度なく登場するウォルサムストーのBlackhorse Lane、去年のロンドン・オリンピックの開場に選ばれ開発が行われたストラトフォード(Stratford)と同じリー川(River Lee)に面した古くからの工場地帯を伴い、汚染された人が住めたものではない、また、治安もいいとは言えない場所で産声をあげた世界初のソフト・トイレット・ペーパー。
世界初のソフト・トイレット・ペーパー_a0067582_5514773.jpg

それはさておき、それまでの粗悪な紙が、如何に切り難く一枚仕立ての硬いトイレット・ペーパーだったかを想像させるように、Andrexのダブル・ロール・ソフト・トイレット・ティシューは、ソフトで切り込みも入っていました。

戦後、ビジネスは大きく花開き急成長を遂げます。

工場は、その後、湖水地方のすぐ下、カンブリア地方のBarrowに移転。しかし、その歴史的な現場となった通りの一辺はPaper Mill Placeという名前に改名され、今はアパート(flats)が建っています。



【参考】
トイレで用をたした後に、ちり紙を最初に使ったのは、高い身分の人に限られていた6世紀の中国。

他の国では、地域、好み、富の程によって、何を用いていたかは様々で、紀元前、古代ローマ人は、海綿(スポンジ)を先端につけた棒を使用し、それを塩水に漬けた状態で置いておきました。

その他の国では、裕福な人々は麻やレース、羊毛を使ってぬぐっていたり、貧しい人々は川で用を足し、その水で体を洗ったり、あるいは、ぼろきれや木のかんなくず、葉っぱや干し草、石や砂、りんごの皮、貝殻など。

インドや中東では、皆様よくご存知の「不浄の手」(左手)、最もお金のかからない手段である、自らの手でぬぐい、その手を洗う、という具合。

中国で6世紀にちり紙が始まったというのに、他の国で紙を用いることがなかなか受け入れられなかったのは、「中国の人々は用を足した後、自分の体を水で洗わず、その部分を紙で拭き取るだけで済ませる。彼らはあまり清潔さにこだわらないようだ」とされたからです。

トイレット・ペーパー反対派っていうのが、人類の歴史上、延々と存在しました。

苦難の道を歩んだ「紙」。現代に入り、新聞や雑誌が登場するようになって、初めて、新聞や雑誌のちり紙がトイレに置かれるようになります。

質の悪い紙とはいえ、ロール状で真ん中に穴が開いている(現在、私たちが見る)タイプの物は、1877年にAlbany Perforating Wrapping Paper Companyが製造し、2年後の1879年にScott Paper companyが続きましたが、新聞や雑誌のちり紙を置いているのに、わざわざ、似たようなトイレ専用の紙を置く必要がないとして、今一つ流行りませんでした。

その後、Northern Tissueが「自由に切れる」トイレット・ペーパーを売り出しました。それまでの製品が、いかに切り難い紙だったということです。

そして、1942年、英国St Andrew Mills Ltdが、2枚重ね(ダブル)のロール状ソフト・トイレット・ペーパーを世に送り出しました。
by rie-suzuki67 | 2013-09-23 05:54 | :: The First in theW
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