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旬の英国便り
by RIE SUZUKI, meet Britain
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本屋さんとクリスマス
この時季は、クリスマス商戦でどの業種も忙しいのですが、王道を言わせてもらうなら、今も昔も本屋さんがとても忙しい季節です。
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特に、スコットランドの本屋さんは戦後の1958年まで、クリマス・デイ(12/25)の祝日もなく、夜遅くまで一生懸命に働いていました。

イングランドとスコットランドは英国(イギリス)という一つの国を構成するそれぞれが国で、たくさんの異なる条例があり、特に(歴史・風土により)文化や習慣は大きく異なります。
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現在の英国は、毎年12月25日のクリスマス・デイといえば、(イスラム系・インド系のお店を除き)英国中の全てのビジネスがお休み(交通機関も全面運休)で、家で静かに過ごすしかないわけですが、その始まりはそんなに古いものではありません。
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イングランドクリスマス・デイが国民の休日になったのは1871年(ヴィクトリア時代後期)。元日(ニュー・イヤーズ・デイ)が休日になったのは、ずっと後の1974年。イングランドでは、新年よりもクリスマスの方が(今も昔も)重要視されています。

スコットランドでは、(1) 宗教的な理由によりクリスマスを祝うことが禁止された時代があり、また、(2) 真冬を祝う北欧の文化をもっているので、クリスマスよりも新年の方が(今も昔も)重要視されています。

従って、スコットランドでは、大晦日から新年にかけて「ホグマニー」(Hogmanay)と呼ばれる盛大なイベントが昔からあり、クリスマス・デイが国民の休日になったのは戦後の1958年になってから。

両国における、両祝日が制定された歴史上の順番は逆なのです。
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現存する英国および世界最古の本屋さんは1700年代ですが、本屋さんの歴史は当然それよりももっともっと古く、英国では、昔も今も、本がクリスマスプレゼントとして人気があり、大人も子どもも冬の楽しみは読書

「冬の夕べはすべての家族が暖炉を囲み、一家そろって本に鼻を押し付けた」というヴィクトリア時代の家族の言が残されています。

e-bookとう最新のテクノロジー時代をむかえた現在でも、この時季の本屋さんは忙しいのです。
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ドイツに住んだ友人が、「ドイツなどの北国が、詩人や作曲家などを多く排出した理由は、真冬、することがないからだよ、家にこもるしかないから」とずっと昔に言っていましたが、冬になると毎年何度もそれを思い出しています。

同時に、北イングランドやスコットランドが、(南・中部イングランドに比べて)北国であることを考える時があります。
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本はクリスマスプレゼントとして人気があると同時に、私も最近は夜中まで読書三昧(一晩で一冊を読んでしまう有様なので、次の本を仕入れなければ!)

【補足】
イングランドでの宗教改革は、ヘンリー八世によって1540年頃行われ、ローマ・カトリックから分離し、独自の英国国教会(Church of England)を立ち上げましたが、一方、スコットランドの宗教改革は、1560年頃、(スイスで起こりドイツ、フランス、オランダなどで広まったカルヴァン派の教派が)大陸からもたらされたもの。スコットランド長老教会(Presbyterianism, Presbyterian Church)。

いずれも(カトリックではないだけで)キリスト教なのでプロテスタント。しかし、スコットランド長老教会は、クリスマスはカトリック色が強い(カトリック的で迷信的である)として禁じたのでした。上記(1)の宗教的な理由とはそういうことです。
by rie-suzuki67 | 2012-12-09 18:11 | :: Literature
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「英国と暮らす」 apd2.exblog.jp