英語食文化 - 肉の名称 - |
今年の夏は雨が多いです。ここの前を通る度に「雨と戯れる、そんな気分にはなれないなー」と心の中で呟いています。 さて、お仕事でさまざまな世代の(日本からいらした)日本人の方と出会いますが、「それは、この人(私)に聞いたら答えがわかる」と思ってのことなのか、一応、聞いてみた、というだけのことなのか、いろいろな質問が突然でてきます。 「(話を)振ると何かが返ってくる」「いつも、打てば響く人ね」と、たまに人から言われる理由は仕事柄でしょうが、私自身が勉強家だから・・・(苦笑) 最近うけた質問に、英語におけるお肉の呼び名があります。 ようは、なぜ英語では、ビーフ、ポーク、チキン、ラムといった具合に、動物の時の名称と食肉になった時の名称が異なるのか?という質問です。 思わず「ウィリアム征服王ってご存知ですか?」と聞き返してしまいました(ウィリアム征服王が何者なのかを知っていると、話し(説明)が早いので、とっさに言ってしまったのです) ウィリアム一世(ウィリアム征服王)の説明を書くと口で喋るより時間がかかるので簡単にいうと、1066年(テン・シックスティシックス)、フランス領内にあったノルマン公国のウィリアムが「自分には王位継承権がある」と宣言して、イングランドに攻めて来ます。 同様に自分に王位継承権があるというイングランドのハロルド王との間で、天下分け目の戦い「ヘイスティングスの戦い」がイングランドの野原で行われ、ウィリアムが勝利し、これによりイングランドは初めて歴史上で統一がなされます(「関が原の戦い」のようなキーになる戦いです)。 ロンドンを首都と定めていろいろな物を築きますが、その一つがロンドン塔です。 その宮殿で、ウィリアム一世や彼が率いてきた貴族や騎士たちが食卓を囲んで(食事をしながら)話す言語は、当然のことながらフランス語です。 フランス語では、動物であった時も、食肉になった時も同じで、牛は「ブ フ」であり、豚は「ポルク」でした。 これを耳にしたイングランド人(正確には当事はサクソン人)は、支配者となった異国の上流階級の人々が呼んでいる肉「ブ フ」「ポルク」の響きに、洗練された優雅なものを感じ、それを「カウ」「ピッグ」と呼ぶのは、いかにも粗野で品がないように感じたのです。 上の階級の趣味を真似たがる・憧れる、歴史上にはこういう類のものがたくさんありますよね。 上から一般階級へと次第に広まっていき、「ブフ」はやがて英語風に変化して「ビーフ」、「ポルク」も r の部分を伸ばして「ポーク」と呼ばれるようになりました。 (生きた動物の名前とは別に)食卓にのぼる肉には名前がつけられているのです。まさに英語文化。ゆえに、それは食生活になじみがあるものに限ります。英国食文化において、食さないような動物には、別の名称は英語にはありません。 そんなわけです。 |
by rie-suzuki67
| 2012-07-10 04:16
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