旬のロンドン便り From LONDON
by RIE SUZUKI, meet Britain
カテゴリ
検索
記事ランキング
以前の記事
画像一覧
外部リンク








<   2006年 05月 ( 9 )   > この月の画像一覧
お呪いと "Scarborough Fair"
英国・イングランド北東部に位置する港町「スカーバラ」(Scarborough)。ダスティン・ホフマンが主演した映画「卒業(Graduation)」の中で、サイモン&ガーファンクルが歌った(日本語発音)「スカボロ・フェア」で、その名前だけは日本でもよく知られていますよね。
a0067582_0121455.jpg

この建物は、海岸線にあるスパで、本当は、建物から湯気が立ち上がっていて、何ともほのぼのさせてくれる光景です。日本でいうところの熱海ですかね?! 砂を運んできた人工の海岸で、温泉保養地ですから。でも、景色と歴史が大きく違い魅力的な町です(それは長くなるので省略)。写真は干潮時。満潮時は、スパの前にいるとがビシャーっと塀に当たって、そのしぶきがかかってしまうくらい。私が行った時も、行きの電車は老人の姿が多かったな〜。でも、町を歩くと家族連れが多かった(車で来ているのでしょう)。でも、リゾートいうよりヨークシャーという土地柄も手伝って、落ち着きのある静かな町で好きです。

「スカボロ・フェア」(Scarborough Fair)は、「スカボロの市」ということ。中世末期、重要な貿易場であったこの町で、毎年8月15日から45日間の長期間、市が立ったので、英国中だけでなく、大陸からも商売をしに人が集まったのでした。

a0067582_0123290.jpg<< スパの手前にあるカジノホテル

サイモン&ガーファンクルの編曲「スカボロ・フェア」は、古い英国民謡、バラード(Balladバラッド)が基になっています。吟遊詩人によって伝えられた時代が去り、1455年に活版印刷技術が発明されると、歌詞が印刷されたもの(「ブロードサイド」と呼ばれた)が瞬く間に広範囲に伝わるようになります。

「スカボロ・フェア」のバリエーションは何十もありますが、最も古バージョンと言われているものは、「妖精の騎士」と「(人間の)若い女性」との掛合いになっており、妖精の騎士が、彼女に無理難題をあげ、それができたら結婚しようというもので、彼女の方も負けてはいません。妖精の騎士が「縫い目のないシャツ」を作り、それを「涸れた(かれた)井戸」で洗い、「イバラの上で乾かす」、それをするだけの好意があるか、彼女に聞いてくれと唄えば・・・

「1エ−カ−の土地を塩水と海砂の間に見つけ、そこを羊の角で耕して胡椒の実を一面に蒔き、それを革のカマで刈り、ヒ−スのロープでまとめる」と難題で返す。それができたら縫い目のないシャツを取りにきてと唄うのである。


Can you make me a cambric shirt, (ぼくに亜麻布のシャツを作ってくれる?)
Parsley, sage, rosemary, and thyme, (パセリ、セージ、ローズマリーにタイム
Without any seam or needlework ? (縫い目もなく 針も使わずに縫えたなら)
And you shall be a true lover of mine. (そしたら 君はほんとうのぼくの恋人)


各スタンザは、この4行たてからなる問答仕立てになっています。「英国伝承童話」(日本ではマザーグースと呼ばれるもの)にも登場しますが、奇妙な2行目「パセリ、セージ、ローズマリーにタイム」は、ハーブの名前ですね。妖精に話し掛けられても、気安く耳を傾けてはいけないと言われていますから、4つのハーブの名前を呪文として唱え、この不可解なものから身を守るおまじないとしてスタンザで繰返されます。ハーブは、昔から、妖精・魔物に対する魔除けとして効果があったと言われています。


サイモン&ガーファンクル編曲の「スカボロ・フェア」は、ちょっとそれから離れて男女の切ない歌詞:
Are you going to Scarborough Fair? (スカボロの市に行くところなの?)
Parsley, sage, rosemary and thyme(パセリ、セージ、ローズマリーにタイム)
Remember me to one who lives there(あの街に住んでいる人によろしくと伝えて)
For once she was a true love of mine(昔恋人だったあの人に)
[PR]
by rie-suzuki67 | 2006-05-29 00:18 | :: Countryside
雲低く、地上を覆う
英国の「雲」については、a+ discovery vol.1でも何度となく書いてきましたが、切れ間のない、低く地上を覆う雲というものが、どんなものかの例:
a0067582_416135.jpg

冬場にこんな所で暮らしていたら、「ノイローゼになる夏目漱石の気持ちもわからないわけではない」と以前も書きましたが、私は、英国名物って気がして、これがないと英国という気がしません。まあ、低い雲が好きということです。

この写真(下)を使うついでに、英国バージョンの「モン・サン・ミッシェル」を・・・
a0067582_4162767.jpg

これは、英国にある「セント・マイケルズ・マウント」(St. Michael's Mount)。フランスの「モン・サン・ミッシェル」(Mont Saint Michael)は、日本人によく知られていますが、ドーバー海峡を隔てて同じ名を持つ小島は、いずれも、ケルト人の聖地。英語か、フランス語かの違いだけで、両方とも「聖ミカエルの山」と言う同じ意味。聖ミカエルは、航海や船の守護聖人です。 干潮時には、こちらも小島へ渡るための石畳が現れます。

1070年にフランスバージョンと同じ僧侶によって寺院が建てられ、1500年代に僧院から城となりました。現在は4代目城主(Lord St. Levan)がお住まいですが、一部公開されています。
[PR]
by rie-suzuki67 | 2006-05-28 04:24 | :: Lookup into Space
「●●伯爵の名前に由来する」
一つ前の「ノブレス・オブリジェ」を読んでいただくと、部分的に、なぜ、世の中、「●●伯爵の名前に由来する」という起源の物が多いのか、わかるような気がします(英国絡みの場合)。

a0067582_146494.jpg前ボタンのセーター、「カーディガン」は、第7代カーディガン伯爵の名前から来ています。1868年にはすでにこの言葉が使われていたそうです。カーディガン伯はクリミア戦争の時の指揮官で、クリミア半島の寒さから身を守るために、このような衣料を着たと言われます。

同じクリミア戦争時代に由来するものとして、「バラクラーバ」 (balaclava) があります。現代では強盗などが覆面代わり使ったり、F1レーサーが被っていたり、Outdoor用のものもありますが、目と口の部分以外、頭から首がすっぽり覆われるようになっている毛糸でできているやつ。クリミア半島の南端に位置し、激戦が繰り広げられた「バラクラーバ」というの名前に由来します。

また、ラグラン袖も、クリミア戦争の指揮官、ラグラン卿の名前から来ており、この戦争に起源があります。

戦争がらみではなく、贅沢品は貴族から流通するといったもの、ただのものぐさで誕生した「サンドウィッチ」や紅茶の「アールグレー」のような物の方が好きですが・・・
[PR]
by rie-suzuki67 | 2006-05-22 01:49 | :: uk is ...
「ノブレス・オブリジェ」(高貴なる者の義務)
a0067582_084241.jpg「ノブレス・オブリジェ」(Noblesse Oblige「高貴なる者の義務」)は「人の上に立ち権力を持つ者には、その代価として身を挺してでも果たすべき重責がある」という意味。

日本ではありえないこととして、英国には伝統として「ノブレス・オブリジェ」の精神があり、この精神が、王室に限らず、貴族といわれる階級の人たちに脈々と受け継がれています。

要するに、階級が高く、普段、庶民よりもよい生活をしている人は、いざ、国の一大事となった場合は、いの一番に国民を守らねばならないのです。貴族は、真っ先に戦場に駆け付け、最前線で生命を賭けて敵と戦わなければならないのである。

英国は今でも歴然たる階級国家です。世襲貴族は、確かにうらやましい(リッチな貴族ばかりとはいえないけど)。その代わり、国の一大事の時には、この貴族が率先して矢面に立つ。庶民は自分達のことだけを考えていればいい、と庶民に思わしめるノブレス・オブリジェがあるからこそ、階級社会打破の「革命」が起こらないと私は理解している。そして歴史はそれを証明してきた。

a0067582_082859.jpg英国史上、最大の危機は、第二次世界大戦時のバトル・オブ・ブリテン(史上最大の航空戦、英国本土上空で、1940年7月〜翌年5月頃にかけて行われた英独の攻防戦)の時ではないか。連日のようにドイツの爆撃機がロンドンめがけて襲ってくる。当時、日本の首脳部は、ロンドンが落ちるのは時間の問題と考えていた。しかし、ロンドンは落ちなかった。戦時に最も相応しい首相チャーチルが、徹底的にロンドンを守りぬいた。

我が家(バッキンガム宮殿)を数度にわたり爆撃されても離れずロンドンで慰問を続けたロイヤル(前王妃と娘のエリザベス<現エリザベス女王>)もシンボルであるが、何より、ロンドン防空を担ったのが主として英国貴族であった。彼らは、スピットファイヤー戦闘機を駆って、攻め寄せるドイツ空軍と戦闘、みごとにロンドンの空を守ったのである。第一次世界大戦での英国軍における貴族階級の死亡率が、際立って高かったのは、そういうわけがある。

a0067582_081744.jpg貴族が普段、贅沢三昧し、いざという時に、自分達だけ逃げ出して、庶民を楯にするようなことがもし歴史上あったならば、今日の英国はなかったであろう。ロンドン防空を担ったパイロット達は、古今東西最高の仕事をした男たちであると言えます。

1982年のフォークランド紛争の折、アンドリュー王子がヘリのパイロットとして参戦しました。そして、まもなく、ハリー王子(上写真)が、イラクの前線に派遣されます。兄のウィリアム王子より先に、今年4月にサンドハースト陸軍士官学校を卒業し、職業軍人となったハリー王子。「特別扱いに反発」し、イラクを志願。日本じゃそんなことはありえないことで、皇太子が自衛隊員として派遣されるようなもんですから。しかし、これは英国王室にとってはあたりまえのこと。

日本は明治になり、英国やドイツを参考にゼロから軍隊を作ったわけですが、戦前の日本も英国のように皇族を軍隊に入れました。しかし、宮様を危ないところにお連れしてはいけない、という発想から抜けきれなかった。
[PR]
by rie-suzuki67 | 2006-05-21 00:14 | :: uk is ...
スターシェフ
いずれも英国のスターシェフですが、この中に私がお会いしたことのあるシェフがいます。もう10年くらい前になりますが、来日したこの方と仕事の打ち合わせをさせていただいたことがあるんです。その方は、一番右のギャリー・ローズさんです。
a0067582_1453659.jpg

数年が経ったある日、英国で彼(ギャリー・ローズ)がいかに有名人かを知りましたが、とある人が、それぞれの方について、こんなことを言ってましたね。まあ、誰にでも、失敗や欠点はあるものです・・・

■ 左)Gordon Ramsay(ゴードン・ラムゼー)
「料理」に「人格」はあらわれないものなのか(短気と口汚いことで有名なので、同じことを言う人が多いですよ)

■中央)Jamie Oliver(ジェイミー・オリヴァー)
犬を触ったその手のまま調理するというのはいかがなものか

■ 右)Gary Rhodes(ギャリー・ローズ)
冷凍食品を使ったことがすっぱ抜かれたので、もう、彼は終わりじゃないか(終わりではなく、今も活躍中というのが現状ですよ)
[PR]
by rie-suzuki67 | 2006-05-19 01:47 | :: Food & Beverages
シャビー・シック(Shabby Chic)
ロンドン発のブランド「キャス・キッドソン」(Cath Kidston)が、ロンドンはもとより、日本でも、近頃人気のようです。

こういったインテリアやファッションを取り上げた(雑誌の)記事で使われる言葉が、「シャビー・シック」(shabby chic)。「キャス・キッドソン」は代表的な「シャビー・シック」デザインブランドと言われています。
a0067582_1241414.jpg

この「シャビー・シック」、インテリアの場合は、白いペインティングの家具にレトロ調のパステルプリントの布をあわせるコーディネート手法のようです。

ファッションの場合はというと、「キャス・キッドソン」を例に説明するなら、オールドローズ(ぼてっと丸まるした薔薇)や乗馬風景などクラシックな題材をプリントした素朴で懐かしいような絵柄。

Shabby・・・粗末な、みすぼらしい、使い古した
Chic・・・粋な、シックな

シンプルで、ダサいけどキュートという表現がいいのかしら?!

「キャス・キッドソン」は、ロンドンだけで6店鋪もあり、日本でも取り扱っている店がありますよね(日本でみたのは、銀座のソニープラザ)。私の好みではありませんが、ポーチや手提げなどの小物、寝具、キッチングッズ、インテリアなどの商品があり、ロンドン土産の一つになりつつある勢い。
[PR]
by rie-suzuki67 | 2006-05-17 01:28 | :: Shopping
「羊」のペインティングには、どんな意味があるか?
ブランド*の話しではなく、羊にペイントされたカラフルな色について。
a0067582_0263229.jpg

ちょっと郊外にでると、切っても切り離せない「羊」のいる風景の英国。小道を散歩していると、「うお〜!助けて!すぐ横に、ふさふさしたでかい羊」なんてことありますよね(言っておきますが私はあらゆる動物が苦手なので)。

体当たりしたら、私が吹っ飛ぶであろう羊と、初めて丘の上で遭遇した時の感想は・・・「汚い」でした。毛がふさふさしている時だったので、汚れていたこともあるのですが、体に、変な色をペイントされているので、何だか落書きされたかペンキを投げ付けられたかのような羊って感じで・・・
a0067582_0264646.jpg

1年前、体のペイント「色」に意味があることを知りました。色には、蛍光色でピンクといった色があるような気がします(不確かな記憶)。意味があると知っただけで、正確に理解していないで、正しく書けないのが残念なんですが、参考までに書く事にしました。英国を旅行されて、皆さん、羊の写真を撮り、「羊がいっぱい」とブログに書くけど、そのことに触れる人や気づかれている人がいないみたいなので。


「羊は、まず、雌(めす)を離し、しばらくしてお尻に色を付けた雄(おす)を、しばらくして別の色を付けた雄(おす)を、またしばらくして違う色の雄(おす)を離す、事がなされて妊った雌(めす)のお尻に印をつける、製造を区別するため、今も英国ではこの方法が用いられているんです、そういう意味です」


・・・わからん?! 「えっ、えっ、もう一度、説明してくれますか」と言える状況ではなかったので、その時は聞き流したので、ごめんなさい。

*ブランド(Brand)とは、「焼き印」という意味(英和辞書)であるように、元々は、放牧されている牛や羊の持ち主を区別するための「焼き印」を押すという英語「burned」から派生したものであることは言うまでもなく・・・
[PR]
by rie-suzuki67 | 2006-05-15 00:33 | :: Countryside
「母の日」と「シムネルケーキ」(Simnel cake)
a0067582_0432542.jpg日本の「母の日」はアメリカから入ってきたものなので、アメリカと同じ5月の第2・日曜日。同様にカーネーションを贈る習慣もアメリカに習ったもの。

さて、「母の日」の発祥は、1600年代の英国。"Mothering Sunday"に由来します。英国の「母の日」(Mother's Day)は、イースターの2週間前の日曜日なので、移動祝日です(今年は3月26日でした)。

私が初めて英国に留学した時(2月下旬から3月上旬)、カード文化の盛んな英国で目にするカードショップのMother's Dayのディスプレーにカルチャーショックを受けたものです(母の日って世界共通じゃないんだっ!?と)。

イースターまでの40日間を"Lent"(レント)と言いますが、1600年代の英国、Lentが始まった4週目の日曜日に、使用人が母親に会いに親元に戻ることを、主人が許可したことが"Mothering Sunday"の起こりです。その際、娘たちは、母親のもとに「シムネルケーキ」と呼ばれるフルーツたっぷりのケーキを持ち帰りました。

a0067582_0434486.jpg「シムネルケーキ」は、フルーツケーキをマジパンで覆い、トッピングには、ユダを除く11人 の弟子を意味する11個のマジパンボールがのせられていました。ここから、「シムネルケーキ」は、「母の日」だけでなく、イースターにも食べられるようになったわけです。

「母の日」と「イースター」が結びついて、イースターと言えば、「ホット・クロス・バンズ」「イースター・エッグ」「シムネルケーキ」が伝統的な食べ物となっています。この時期の手土産、プレゼントとして、「シムネルケーキ」を持参する方も多いはず。

ところで、日本の「母の日」は、まだこれから。何にしたらいいでしょう〜
[PR]
by rie-suzuki67 | 2006-05-08 00:46 | :: Food & Beverages
ドイツ語
a0067582_1482224.jpg英語には、「ぎっくり腰」という言葉がないので、ちょっと説明調に"I've strained my lower back."なんて言うわけですが、ドイツ語では、"Hexenschuss"(ヘクセンシュウス/魔女の一撃)というそうです。まさに、それ!それ! 好きだわ、私。

「覆水盆に帰らず」という日本の慣用句を、英語では、"It's no use crying over spilt milk"(こぼしたミルクを嘆いてもしかたがない)。サマセット・モーム(Mr. William Somerset Maugham)の言葉ですが、物がかわっただけで、日本語と英語のイディオムは、シチュエーションの似ているものが結構ありますよね。味気ないと思ったりするわけで。

これをドイツ語では、"Schnee von gestern"(昨日の雪)と言うそうです。美しい〜!

因に、前段の「ぎっくり腰」に関しては、古い英語に"Elf-shot"(小びとの一撃)なんていう表現もあったそうですが、今はスコットランドや北イングランドで発見された「矢尻」(Elf-arrow)を指す用語として使われることが一般的だと思います。
[PR]
by rie-suzuki67 | 2006-05-01 01:50 | :: Languages
「英国と暮らす」 from LONDON by RIE SUZUKI apd2.exblog.jp