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旬の英国便り
by RIE SUZUKI, meet Britain
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ルイス・チェスメン(The Lewis Chessmen)
セルフリッジ百貨店横のオーチャード・ストリートを(シャーロック・ホームズ博物館のあるベーカー・ストリートへと)北に向かって歩いていくと・・・
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ショーウィンドウはもちろん、店内にたくさんの種類のチェス駒が飾られている The Chess Shop があり、ショーウィンドウのチェス駒が可愛らしくて、つい、誰もが足を止めるほど。

一般的なチェスの駒だけでなく、ロイヤル・ファミリー勢揃いの駒や、(子ども向けに)Pokemon(ポケモン)のキャラクター駒だったりとさまざまですが、その中に、ルイス・チェスメン(The Lewis Chessmen)もあり69.99ポンド(↓)。それほど、"The Lewis Chessmen" は英国では有名なもので、もちろん、本物は大英博物館にあります。
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大英博物館ガイドブックの表紙を飾るほどの代表展示物でありながら・・・
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また、トイレに行くため階段を下りる(トイレから階段を上がってくる)時に、全ての人の目に入る籠の中に、そのマグネットが大量に置かれているというのに・・・
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日本では、あまり知られていない(はっきり言って、全く知られていない)けど、大英博物館を代表する有名な展示物 "The Lewis Chessmen"。
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正面玄関のほとんど真上辺りに Medieval Gallery(中世ギャラリー)Room40 があり、このルイス・チェスメンは、Medieval Galleryの目玉(ハイライト)なので、一瞬、その前で、ガイドがグループに説明している光景が常ですが、すぐにその人だかりは移動しますから、プライベートの方などは、その後、ゆっくり見れます。
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に包まれた背景と、同じ種類の駒でも、駒により、多少違ったポーズ、違った顔つき、違った服装をしており、そのひょうきんな表情がルイス・チェスメンの特徴で、私が大英博物館をご案内する時は、ほとんど必ず立ち寄る展示物のひとつです。

(例えば、通常、現在は「城」の形をした駒である「ルーク」駒ですが、ルイス・チェスメンの場合、その駒の中には、手に持っている盾に、歯をむき出して噛み付いているものもあるんです)

キングとクイーン、そして、ルークとナイト(↓) 何か悩みごとでもあるのか、心配事でもあるのか、考えているポーズ女王様が最も印象的です。
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スコットランドの北西沖に位地するルイス島。これらのチェス駒は、この島の砂丘に、ドライストーンを積んだけの小さな、小さな小部屋(空洞)の中に隠されていました。
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1150~1200年の間に作られたと推察されており、当時、ルイス島は(スコットランドではなく)ノルウェーでした。幾つかのチェス駒は、北欧神話にでてくる戦士たちの姿に似ていることからも、これはノルウェーで作られた可能性が高いとされています。

ノルウェーはアイルランドと貿易を行っていましたから、ノルウェーからアイルランドへ向かう途中の商人が、なんらかの理由でルイス島に隠していった、という説が一般的です。

チェス駒は、ほとんど使用された形跡が無く、なぜ、所有者がなにもないルイス島へ、これらを隠し、立ち去ったのか、所有者に何が起こったのか・・・
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1831年、スコットランド人によって発見された「ルイス島のチェス駒」(ルイス・チェスメン, The Lewis Chessmen)。数個の駒が欠けているものの、全部で4セットあり、いずれも、セイウチ象牙(↓)、および、クジラの歯を使用して彫られています。
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今日、私たちが見慣れたチェス駒の色である白vs.黒ではなく、発見時には、く染められているチェス駒があり、中世のチェス駒は(象牙のアイヴォリー・ホワイトである)白vs.赤だったことがわかります。

4セットの駒ですが全部で93駒(chessmen)あり、その他、計算するためのゲーミング・カウンター(↓丸い平べったいやつ)が14個、発見されました。
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93駒のうち、82駒と14個のゲーミング・カウンターが大英博物館所蔵で、現在、残りの11駒が(エディンバラにある)スコットランド国立博物館(National Museum of Scotland)所蔵です。
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実は、トップでお見せした The Chess Shop のショーウィンドウの左端に写っている薄べったい(7.99ポンド)は、2010-2011年のおよそ一年間、スコットランド国立博物館からの依頼で、ルイス・チェスメンがスコットランド各地にある博物館を巡るツアーThe Lewis Chessmen: Unmaskedが組まれた時に、スコットランド国立博物館が制作したガイドブックで、もう、ここでしか手に入らない貴重なガイドブック!(店内に在庫三冊置かれています)

現在は11駒がエディンバラのスコットランド国立博物館にありますが、スコットランド各地の博物館を巡るツアーが組まれた2010-2011年、これにより70%のスコットランド人が、はじめてルイス・チェスメンを目にしたというほど大盛況だったそうです。

The Lewis Chessmen: Unmasked って、とっくのとーの昔に、イングランドのロンドンにある大英博物館で世界中からやって来る人々の前で仮面をはいでますけど・・・、「とびきり哀しいスコットランド史」という誰かの本のタイトルが頭をよぎります。
by rie-suzuki67 | 2014-10-05 05:15 | :: Gal./Mus./Theatre
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