旬のロンドン便り From LONDON
by RIE SUZUKI, meet Britain
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エロスではなく「アンテロスの像」
ピカデリー・サーカスには、通称「エロス(の像)と呼ばれている有名なブロンズ像があります。
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しかし、ギリシャ神話の愛の神「エロス(Eros)」がモデルというのは、完成当時、人々が見た目から「エロス」と勘違いし、広まってしまった通称なんです。

エロスじゃなければ、モデルは誰?というお話の前に・・・

そもそも、このブロンズ像は、ヴィクトリア時代に、恵まれない子どもたちの労働環境の改善や、キャビー(タクシードライバー)のためのシェルターの考案を行った慈善家・博愛主義の政治家 第7代シャフツベリー伯爵(Anthony Ashley-Cooper, 7th Earl of Shaftesbury, 1801-1885)の業績を記念して1893年に建立した、正式名称を「シャフツベリー記念噴水」(The Shaftesbury Memorial Fountain)といいます。

彫刻家 アルフレッド・ギルバート(Alfred Gilbert, 1854-1934)は、「貧民の伯爵」('poor man's earl')と称されるシャフツベリー卿の慈善家としての無償の愛を表すのに相応しい題材として、エロスの双子の弟である「アンテロス」(Anteros)を選びました。
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エロスとアンテロスの最大の違い(見分け方)は、エロスは(空に向ってのびている)鳥の翼、アンテロスは(丸みを帯びた)蝶の羽を持っている点にあります。
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しかし、このブロンズ像は、下からでは見る角度によって、確かに鳥の翼にも見えたり、明らかに蝶の羽であったりするので、完成当時の人々が勘違いをするのも無理がないんです。
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これでどうですか(↓)二枚とも蝶の羽です。
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別名として、(シャフツベリー卿がキリスト教的慈愛の象徴であったことから)「クリスチャン・チャリティの天使」(The Angel of Christian Charity)とも呼ばれますが、これは、設置側が広まった勘違いのエロスを打ち消すために名づけたけれども全く定着しなかった名称。

ギリシャ神話のキューピット(ギリシャ語:エロス(Eros)、ラテン語:クピド(Cupido)、英語:キューピッド(Cupid))になったり、キリスト教におけるエンジェル(天使)になったり、事を複雑にし過ぎ!
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ここでは昔、警察に追われる犯罪者が恋人と(この下で)逢引をしているその間は、(警察といえども)なんびとも、恋路を邪魔せず待つ、とされたそうです。

ご存知の人も多いでしょうが、このアンテロスは、弓は持っていても矢は持っていません。

理性を失った人だけが出会えるエロスは、金の弓矢鉛の弓矢を携えていました。エロスが持つ金の弓矢で射抜かれると、確かな理由もなく目の前にいる相手に恋に落ちてしまい、その反対に鉛の弓矢で射抜かれると、目の前にいる相手から逃げ出したくなるという好き嫌いをコントロールする弓矢がエロスの持ち物。

エロスが象徴する男女間の軽い恋愛沙汰よりも、アンテロスは相互愛同士愛といった象徴で、やさしい成熟した愛情を表すと言います。
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by rie-suzuki67 | 2014-01-15 06:17 | :: Walk & Streets
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