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旬の英国便り
by RIE SUZUKI, meet Britain
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五月祭(May Day)
今週末は、メイ・デイ(May Day)ということで、英国は三連休でした。

メイ・デイ(May Day)といえば、日本では「労働者の日」というイメージ一色ですが、これが制定されたのはごく最近のことで、元々は、春の訪れを祝う「五月祭」という盛大なお祭り。

その起源は、古代ローマ時代にまで遡り、花と春を司る女神・フローリリア(Florialia)のために祝われたとされています。

ローマ帝国崩壊後も、領土や駐屯地となっていたヨーロッパ諸国や英国などの国々には、メイ・デイの文化が残りました。「すべての道はローマに通じる」というぐらいですから、フランス、ドイツ、イタリア、スイスなど殆どのヨーロッパ諸国に残っているお祭りです。

特に英国ではメイ・デイを盛大に祝っていたとされています。

英国は5月1日は祝日ではないものの、5月の第一月曜日がMay Day Bank Holidayで祝日となり、各地でMay Dayにちなんだ伝統的な催しが行われます。

市町村単位で、またはミュージアムやナショナルトラストをはじめとする各施設などの(草原の輝きをイメージするような)芝の広場でのフェスティバル、という一般的な感じとは一味違った水辺の五月祭に今年は足を運びました。
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場所は、ロンドン・パディントン駅の裏手に位置するリトル・ヴェニス
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(運河の水上交差点)リトル・ヴェニスに、ナローボート(カナルボート)が各地から大集結!



1983年から実施されているIWA(Inland Waterways Association)による Canalway Cavalcade 2013 です。
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ストールでは、英国運河マップのティー・タオル、リトル・ヴェニスの絵葉書やカナル・ペイントの雑貨などを売るお店もでていて、日頃は手に入らないものが売られていました。
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BBQのストールからは美味しそうな匂いとともに煙がモクモク上がっていましたが、こちらは平然と静かにスウィーツを売るお店。
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さて、国や地域、実施場所によって若干の相違がありますが、イングランドの伝統的なMay Dayの要素は:

メイ・クイーン (May Queen, 5月の女王)
メイポール (Maypole)
モリス・ダンス (Morris Dancing)
Jack in the Green (別名/The Green Man)

イングランドでは、伝統的には、早朝、人々は花を摘みにでかけ、教会や石像などに捧げます。花は春の象徴であり、これからの収穫を願うという意味で非常に重要な役割を担っていました。

祭りのご馳走は全て緑色に仕立てられます。緑は豊饒と木々の新緑を表していたのです。

そして、広場には「メイポール」 (Maypole)が建てられます。メイポールはカンパの木の幹で作られていて、天辺に色リボンを取り付け、そのリボンを持ってポールを中心に踊る円形ダンスがメイポールダンス。皆さん、昨年のロンドン・オリンピックの開会式でご覧になったことでしょう。また、春を告げる鈴も付けられます。
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※上記のメイポールダンスの写真は、レスター・スクエアでのものです。

(本来は、メイ・クイーンの役目なのですが)ベルを振り鳴らしながら大きな声でメイ・デイの開催を告げ、指定の場所から民衆を誘導する人(↓)
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さらに、May Dayで踊られるのが「モリス・ダンス」(Morris Dancing)
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イングランドの伝統的な男性舞踊で(この会場では女性も混じっていますが)、アコーディオンの伴奏に合わせて揃いの衣装に身を包んだ踊り手が、木のスティックハンカチを小道具に力強く踊るフォークダンスです。
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彼らも春を告げるを足などに沢山つけているので、(それを鳴らすためといってはなんですが)飛んだり、跳ねたり、運動量の激しいダンスです。
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さすがに水辺の石畳の上でのダンスは疲れたのではないか、と思います。
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お祭りで最も重大な役割を持つ人物が5月の女王(May Queen)。

五月祭の象徴となる女王で、花飾りの王冠を戴いてパレードを先導するのですが、彼女はメイポールに取り付けられた鈴と同じ鈴を持っています。これは、メイポールが彼女の「持ち物」であることを示しています。(写真ありません)

「Jack in the Green」ですが、ジャックは春の化身です。ドイツ、スイスなどでも植物の聖霊を人格化した儀式が行われますが、いずれも、豊作を祈ってのものです。

どんなことをするか、というと、沢山の葉っぱに覆われたジャックは春の訪れを告げに街中を練り歩きます(パレードです)。(写真はブリストルでのもの)
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ジャックの傍らには、ボギーという緑色の衣装・ペインティングをした人たちがいて、緑色の絵の具を染み込ませたスポンジを持っています。このボギーたちに見つかると鼻の頭をそのスポンジで緑色に塗られてしまいます。

パレードの最後は、ジャックが踊りを披露し、それが終わるとジャックは殺されます。ジャックの死によって春が解放されるというストーリーです。
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ジャックが殺された後、ジャックの体を覆っていた葉っぱは民衆に投げ与えられます。その葉を手に入れることができれば、今年はよい年になるというもの。

このMay Day Bank Holidayに見逃した!という方でも、まだ間に合います。100年以上の歴史を持つロンドン最古のMay Dayイベントとして知られるEalingのBrentham Garden Suburbで開催のBrentham May Dayが、実は5月11日(土)だからです。

因みに、オリバー・クロムウェル率いる清教徒革命(ピューリタン革命)でチャールズ一世が処刑され、護国政治となった期間、政府はメイ・デイを「悪魔の宴」(祝い事自体が目障りだった)と見て、中止させようとしましたが、国民の圧倒的な反発にはあい、手だしができなかったとされます。
by rie-suzuki67 | 2013-05-07 05:56 | :: Annual Events
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