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旬の英国便り
by RIE SUZUKI, meet Britain
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「半旗」を掲げる
英国、特にロンドンを訪れる人は、街を歩きながらフラッグ(旗)の多さに驚いたりします。

フラッグ・ポールを持つ建物が多いということなのですが、昨日(月曜日)の午後から、ほとんど一斉に、それらは「半旗」(Half-mast)の状態となりました。
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サッチャー元首相へ弔意を表す半旗。
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国会議事堂、官公庁の建物群はもとより、ロンドン交通局や美術館、デパート、ホテル、オフィスビル、教会・・・、一斉に英国国旗(ユニオン・フラッグ)の棚引く位置が下げられました。
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英国では、半旗はポールの3分の2のところまで下げて掲げるのが正式で、一度、天辺まで上げてから3分の2の位置まで下ろして固定し、下ろす時もまた天辺まで一度上げてから下まで下ろします。
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(王室と関係のない)特定の一般人への弔意のためにバッキンガム宮殿のフラッグが半旗となるのは初めてのことです(もちろん、国王命令としてです)。
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元々、英国王室には半旗の伝統はありません。今でこそ、宮殿に国王が居る時は王室旗(国王の旗、Royal Standard)が掲げられ、外出すると国王旗が下ろされ、それに代わってユニオン・フラッグが揚げられていますが、それはダイアナ元皇太子妃が亡くなった時からという歴史の浅いもの。
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それ以前はというと、国王が宮殿にいることを示すものとして王室旗(国王の旗、Royal Standard)だけが掲げられていました。国王が宮殿にいなければポールにはどんなフラッグも掲げられていませんでした。

たとえ国王が崩御しても、即座にその瞬間から新たな君主が即位することになるため、「王位に空位はなく、常に国王は健在である」という証のため、王室旗(国王の旗、Royal Standard)を半旗にして喪に服す必要がなかったのです。
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ところが、ダイアナ元皇太子妃が亡くなった際、「王室はバッキンガム宮殿に半旗を掲げ、弔意を表すべき」という世論が起こります。

王室廃止論まで浮上したこの時、エリザベス女王は、たとえ国王が亡くなっても半旗を揚げるということない英国王室が、自分の代で(ダイアナ元皇太子妃ために)半旗を揚げるという屈辱的な決断を迫られます。
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女王が葬儀のために宮殿を出ると同時に(いつものように)王室旗(国王の旗、Royal Standard)が下げられ、その時ばかりは代わってユニオン・フラッグの半旗が掲げられました。

これが、はじめてユニオン・フラッグが掲揚された瞬間であり、また同時に英国王室はじまっていらいの半旗です。

これ以後は、国王不在の際に王室旗の代わりにユニオン・フラッグを掲揚し、また、特別に国王が命令を出した場合に(ユニオン・フラッグを)半旗にするという慣習が始まりました。
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基本的に、半旗は国旗(ユニオン・フラッグ)が用いられ、王室旗は用いません。これまでにバッキンガム宮殿が半旗となったのは、ダイアナ元皇太子妃、(エリザベス女王のお母さんである)クイーンズ・マザーと(エリザベス女王の妹の)マーガレット王女の葬儀の際、そして、ロンドン同時爆破事件の際だけです。
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亡くなった日から葬儀の日までが半旗の期間なので、しばらく、サッチャー元首相への弔意の半旗が棚引く英国です。
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国会議事堂前の報道陣テント(↓)
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by rie-suzuki67 | 2013-04-10 01:39 | :: Extra, extra...
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